夜勤中に不穏になった患者さんへの対応【精神科看護師の実体験】

精神科看護師の仕事・現場のリアル

夜勤中に不穏になった患者さんへの対応【精神科看護師の実体験】

「ナースコールが鳴り止まない」「廊下で大声を出している」——夜勤中の不穏対応は、精神科看護師なら誰もが経験することです。

でも最初のうちは「どう対応すればいいんだろう」「一人で抱えて大丈夫かな」と不安になりますよね。私も夜勤デビューしたての頃は、不穏の患者さんへの対応が一番怖かったです。

この記事では、夜勤中に不穏になった患者さんへの対応を、実体験を交えながらお伝えします。これから夜勤を始める方や、対応に自信がない方の参考になれば嬉しいです。

そもそも「不穏」ってどんな状態?

不穏とは、精神的に不安定になって落ち着きがなくなった状態のことです。具体的には、

  • 大声を出す・叫ぶ
  • 廊下をうろうろする(徘徊)
  • 暴力・他害行為
  • 自傷行為・離院リスク

などがあります。夜間は昼間と違ってスタッフが少ないため、不穏への対応はより緊張感があります。

なぜ夜間に不穏になりやすいの?

昼間は作業療法や食事・面会など、患者さんの気持ちを落ち着かせる活動がたくさんあります。でも夜間はそれがなくなり、暗くて静かな環境になります。

この「夜の環境」が不安や混乱を引き起こしやすいんです。特に、

  • せん妄(高齢者や身体的に弱っている方に多い)
  • 幻覚・妄想の悪化(統合失調症の方など)
  • 不眠からの興奮

これらが重なって、夜間に不穏になるケースが多いです。

【実体験】大声・叫び声への対応

夜勤中に一番多いのが、大声や叫び声による不穏です。私が実際に経験したケースをもとにお話しします。

こんな場面がありました

深夜2時ごろ、突然「助けてーー!!」という大きな叫び声が病棟に響きました。駆けつけると、高齢の女性患者さんが病室の入口で立ち尽くして叫んでいました。

話しかけると「誰かが部屋に入ってきた!怖い!」と訴えています。見回しても誰もいません。せん妄による幻覚でした。

実際にやった対応

①まず落ち着いた声・態度で近づく
大声に対してこちらも焦った様子を見せると、患者さんの不安がさらに高まります。「大丈夫ですよ、来ましたよ」と穏やかな声で話しかけながらゆっくり近づきました。

②否定せず、気持ちに寄り添う
「誰もいませんよ」と否定するのはNGです。患者さんにとっては「本当に見えている」ので、否定されると余計に混乱します。「怖かったんですね、ここにいますよ」と気持ちを受け止めることが大切です。

③安全な場所に誘導する
ナースステーションの近くや明るい場所に移動してもらいます。「一緒にいましょう」と声をかけながら、自然に誘導します。無理に連れて行こうとすると抵抗されることがあるので、あくまで「一緒に」が大切です。

④他のスタッフに声をかける
一人で抱え込まないことが重要です。すぐに他のスタッフに状況を共有して、必要なら複数人で対応します。

⑤医師への報告・指示を仰ぐ
興奮が強い場合や、薬の追加が必要と判断した場合は当直医に連絡します。「どんな状態で・何をした・今こんな状態」を簡潔に伝えられるように準備しておくとスムーズです。

結果

しばらく一緒にいると、患者さんは徐々に落ち着いてきました。「ありがとう、怖かったわ」と言ってくれて、その言葉に正直ホッとしました。

暴力・他害行為への対応

大声とは別に、暴力行為への対応も夜勤では起こりえます。

基本は「距離を保つ」こと。興奮している患者さんに近づきすぎると危険です。まず安全な距離を保ちながら声をかけ、複数のスタッフで対応します。

一人で解決しようとしないことが鉄則です。すぐに応援を呼んで、チームで対応しましょう。どうしても危険な場合は身体拘束の指示を医師から仰ぐこともあります。

離院リスクへの対応

「いなくなった!」——夜勤中に最も焦る場面の一つです。

まず病棟内を素早く確認します。トイレ・浴室・デイルームなど、隠れやすい場所を重点的に探します。見つからない場合はすぐに師長・当直医・警備員に連絡します。一人で探し回るのは危険なのでやめましょう。

離院リスクが高い患者さんは日頃から把握しておいて、夜勤前の申し送りでしっかり確認しておくことが大切です。

夜勤の不穏対応で大切にしていること

経験を重ねてわかってきたことをまとめます。

焦らない・慌てない
患者さんはスタッフの雰囲気を敏感に感じ取ります。こちらが焦ると患者さんの不安も高まります。深呼吸して、まず自分が落ち着くことが第一です。

一人で抱え込まない
夜勤は人数が少ないからこそ、チームワークが大切です。「これくらいなら自分で何とかしよう」と思わず、早めに他のスタッフに声をかける習慣をつけましょう。

否定しない・共感する
幻覚・妄想の内容を否定するのではなく、「怖かったんですね」「不安だったんですね」と感情に寄り添うことが基本です。

記録をしっかり残す
どんな状態で・何時に・どう対応したかを記録します。次の夜勤スタッフや日勤スタッフへの申し送りにも役立ちます。

自分のケアも忘れずに
不穏対応の後は、自分自身も緊張や疲れがたまっています。休憩中に少し気持ちをリセットする時間を作りましょう。「大変だったな」と自分を労うことも大切です。



まとめ

夜勤中の不穏対応についてお伝えしました。

  • 夜間は環境の変化から不穏になりやすい
  • 大声・叫び声には落ち着いた声で寄り添う
  • 否定せず気持ちを受け止めることが基本
  • 一人で抱え込まずチームで対応する
  • 記録をしっかり残して次のスタッフに引き継ぐ
  • 対応後は自分自身のケアも忘れずに

最初は怖くて当然です。でも経験を重ねるうちに「こういうときはこうすればいい」という感覚がついてきます。一人で頑張りすぎず、チームを頼りながら乗り越えていきましょう。

次の記事では、精神科看護師のメンタルの守り方について書いていこうと思います。お楽しみに!

よくある質問

Q. 夜勤中に不穏対応が怖くて仕方ないのですが、慣れますか?
A. 慣れます!最初は誰でも怖いです。経験を重ねると「パターン」が見えてきて、落ち着いて対応できるようになります。先輩のやり方をよく観察して、真似するところから始めてみてください。

Q. 一人で夜勤することはありますか?
A. 病院の規模によりますが、精神科では基本的に複数人で夜勤します。一人になることはほとんどありません。

Q. 患者さんに怪我をさせられたらどうすればいいですか?
A. まず自分の安全を確保して、すぐにスタッフや師長に報告します。怪我の状態によっては受診も必要です。一人で抱え込まず、きちんと報告・記録することが大切です。

Q. 不穏対応で薬を使うことはありますか?
A. あります。興奮が強い場合は医師の指示のもと、頓服薬(臨時の薬)を使うことがあります。看護師の判断で勝手に使うことはできないので、必ず医師に報告・相談してから対応します。

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