パーソナリティ障害ってどんな病気?精神科看護師がわかりやすく解説

精神疾患・病気のこと

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パーソナリティ障害ってどんな病気?精神科看護師がわかりやすく解説

「パーソナリティ障害って性格の問題なの?」「どんな症状があるの?」「関わり方が難しいと聞くけど、どうすればいいの?」

パーソナリティ障害は、精神科でもよく見られる病気ですが、正しく理解されていないことが多いです。この記事では、精神科看護師として長年働いてきた私が、パーソナリティ障害についてわかりやすく解説します。

パーソナリティ障害とは何か——基本をわかりやすく

パーソナリティ障害とは、ものの考え方・感じ方・人との関わり方のパターンが極端に偏っていて、本人や周りの人が長期にわたって困難を感じている状態のことです。

「性格が悪い」「わがまま」と思われてしまうことがありますが、これは本人が意図してやっているのではなく、脳の特性・生育環境などが複雑に絡み合って形成されたものです。本人自身も生きづらさを感じていることが多いです。

診断がつくまでに時間がかかることが多い

パーソナリティ障害は、なかなか周りに理解してもらえないことが多い疾患です。「性格の問題だ」「わがままなだけ」と思われてしまい、疾患として診断がつくまでに時間がかかることがあります。

診断が難しい理由としては以下のことが挙げられます。

  • 症状が「性格」と区別しにくい
  • うつ病・不安障害・発達障害など他の疾患と症状が重なることが多い
  • 本人が「自分がおかしい」と気づきにくいことがある
  • 状況によって症状の出方が違う

「なんとなく生きづらい」「人間関係がいつもうまくいかない」という悩みが長く続いている場合、一度専門家に相談してみることが大切です。

パーソナリティ障害の主な種類

境界性パーソナリティ障害(BPD)

精神科で最もよく見られるパーソナリティ障害のひとつです。感情の波が激しい・見捨てられることへの強い恐怖・対人関係の不安定さ・衝動的な行動(自傷・過食など)・慢性的な空虚感が主な特徴です。

自己愛性パーソナリティ障害

自分は特別な存在だという誇大な感覚・他者への共感の乏しさ・賞賛を強く求める・批判されると強い怒りが出るといった特徴があります。

回避性パーソナリティ障害

批判・拒絶への強い恐怖から人との関わりを避ける・自分は劣っているという感覚・新しい状況への強い不安が特徴です。

依存性パーソナリティ障害

他者に強く依存する・一人で決断することが難しい・見捨てられることへの強い恐怖・自分の意見を主張することが難しいといった特徴があります。

反社会性パーソナリティ障害

社会のルール・他者の権利を無視した行動・嘘をつく・衝動的で無責任な行動・他者への共感の乏しさが特徴です。

パーソナリティ障害の原因

パーソナリティ障害の原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っています。幼少期の虐待・ネグレクト・不安定な家庭環境・トラウマ体験などの生育環境の影響が大きいと言われています。また遺伝的な要因・脳の神経系の特性なども関係しています。「育て方が悪かった」「本人の意志が弱い」のではありません。

精神科での治療方法——心理療法って何をするの?

パーソナリティ障害の治療は、心理療法が中心になります。「心理療法って具体的に何をするの?」と思う方も多いと思います。わかりやすく説明します。

弁証法的行動療法(DBT)

境界性パーソナリティ障害に特に効果があるとされています。

具体的に何をするの?

  • 感情のコントロールを学ぶ:感情が激しくなったとき、どうやって落ち着かせるかを練習する
  • 対人関係スキルを学ぶ:相手に自分の気持ちを上手に伝える方法・断り方を練習する
  • 苦痛への耐性を身につける:辛い状況を乗り越えるための具体的な方法を学ぶ
  • マインドフルネス:「今この瞬間」に意識を向けることで、感情に振り回されにくくなる練習をする

認知行動療法(CBT)

具体的に何をするの?

  • 「どうせ私は見捨てられる」「みんな敵だ」という歪んだ考え方のパターンに気づく
  • その考え方が本当に正しいかどうかを一緒に検証する
  • より現実的・バランスの取れた考え方に少しずつ変えていく

精神分析的心理療法

具体的に何をするの?

  • 幼少期の体験・無意識のパターンを探る
  • 「なぜ自分はこういう考え方・行動パターンになったのか」を理解する
  • 自己理解を深めることで、少しずつ行動パターンを変えていく

薬物療法

パーソナリティ障害そのものを「治す」薬はありませんが、感情の不安定さ・うつ症状・不安感・衝動性などに薬が使われることがあります。心理療法と組み合わせて行われることが多いです。

治療に時間がかかることを理解する
パーソナリティ障害の治療は長期にわたることが多いです。「すぐに良くなる」ものではなく、少しずつ変化していくものです。焦らず・根気強く関わることが大切です。

関わり方のコツ

① 感情に振り回されない
感情の波が激しい患者さんと関わるとき、こちらまで感情的にならないことが大切です。穏やかに・一貫した態度で関わることが安心感につながります。

② 境界線を明確にする
「できること・できないこと」を明確にすることが大切です。「それはできません」とはっきり伝えることも、大切な関わりのひとつです。

③ チームで情報を共有・対応を統一する
スタッフ間で対応がバラバラだと、症状が悪化することがあります。チームで情報を共有・対応を統一することが大切です。

④ 小さな変化を認める
「今日は感情のコントロールができていた」——小さな変化を認めて言葉にして伝えることが、自己肯定感の回復につながります。

家族・周りの人が知っておきたいこと

「わがまま」「性格が悪い」ではない
パーソナリティ障害の言動は、本人が意図してやっているのではありません。「生きづらさを抱えている」という視点で関わることが大切です。

家族自身のケアも大切
パーソナリティ障害の家族を支えることは、家族にとっても大きな負担になります。家族向けの支援グループ・相談窓口を活用することも大切です。

精神科の現場で感じること

パーソナリティ障害の患者さんとの関わりは、正直に言うと難しいと感じることがあります。診断がつくまでに時間がかかることも多く、「性格の問題だ」と思われてしまい適切なサポートを受けられないケースもあります。でも、長く関わり続ける中で「この人はこういうときに辛くなるんだな」「こういう声かけが安心感につながるんだな」という理解が深まっていきます。「わがまま」ではなく「生きづらさを抱えている」という視点で関わることが、精神科看護師として大切にしていることです。



まとめ

  • パーソナリティ障害は「性格が悪い」のではなく、考え方・感じ方のパターンが極端に偏っている状態
  • 診断がつくまでに時間がかかることが多い——「生きづらさ」が続くなら専門家に相談を
  • 境界性・自己愛性・回避性・依存性・反社会性など種類がある
  • 治療は心理療法(DBT・CBT・精神分析)が中心で長期にわたる
  • 心理療法では感情のコントロール・考え方のパターンの修正・自己理解を深めることをする
  • 一貫した対応・チームでの情報共有が関わり方の基本
  • 「わがまま」ではなく「生きづらさを抱えている」という視点で関わる

よくある質問

Q. パーソナリティ障害は治りますか?
A. 「完全に治る」というより、「症状が和らいで生活しやすくなる」ことを目指します。適切な治療・支援によって、少しずつ変化していくことが多いです。

Q. 心理療法はどのくらいの期間かかりますか?
A. 数ヶ月〜数年にわたることが多いです。パーソナリティ障害の治療は長期にわたることを理解した上で、焦らず続けることが大切です。

Q. スタッフによって対応が違うとなぜ症状が悪化するのですか?
A. パーソナリティ障害の方は対人関係が不安定になりやすく、スタッフの対応の違いを極端に感じてしまうことがあります。チームで統一した対応をすることで安心感につながります。

Q. パーソナリティ障害はどこで診てもらえますか?
A. 精神科・心療内科で診てもらえます。パーソナリティ障害の専門的な心理療法を行っているクリニックもあります。受診前に電話で確認することをおすすめします。

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