統合失調症ってどんな病気?精神科看護師がわかりやすく解説

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統合失調症ってどんな病気?精神科看護師がわかりやすく解説

「統合失調症」という言葉、聞いたことはあるけれど、実際どんな病気かよくわからない——そう感じている方は多いと思います。

精神科で働いていると、入院患者さんの中で一番多い疾患が統合失調症です。でも世間ではまだまだ誤解や偏見が多く、「怖い病気」「治らない病気」というイメージを持っている方もいます。

この記事では、精神科看護師として日々患者さんと関わっている私が、統合失調症についてできるだけわかりやすくお伝えします。当事者の方・家族の方・精神科に興味がある方、ぜひ読んでみてください。

統合失調症とはどんな病気?

統合失調症は、脳の働きに影響が出ることで、思考・感情・知覚・行動などにさまざまな変化が起きる病気です。

100人に約1人がかかると言われていて、決して珍しい病気ではありません。世界中どこでも、年齢・性別・国籍に関係なく発症します。多くの場合、10代後半〜30代にかけて発症することが多いです。

「心が弱いから」「育て方が悪かったから」などが原因ではなく、脳の神経伝達物質(ドーパミンなど)のバランスが崩れることが関係していると考えられています。本人や家族のせいではありません。

統合失調症の症状

統合失調症の症状は大きく「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」の3つに分けられます。

陽性症状(あるはずのないものが現れる)

幻覚
実際にはないものを知覚します。最も多いのが「幻聴」で、誰もいないのに声が聞こえます。「死ね」「お前はダメだ」といった批判的な声や、自分の行動を実況するような声が聞こえることもあります。患者さんにとってその声は本当に聞こえているので、「気のせいだよ」と言っても意味がありません。

妄想
現実ではないことを強く信じ込みます。「誰かに監視されている」「テレビで自分のことが話されている」「食事に毒が入っている」など、根拠なく信じ込んでいる状態です。否定しても受け入れられないことがほとんどです。

まとまりのない思考・言動
話がまとまらない、脈絡なく話が飛ぶ、行動が突飛になるなど、思考や言動にまとまりがなくなることがあります。

陰性症状(本来あるべきものが失われる)

陽性症状と反対に、感情や意欲が失われていく症状です。

  • 感情が平坦になる(喜怒哀楽が薄くなる)
  • 話す量が減る
  • 何もやる気が起きない
  • 人と関わることを避けるようになる
  • 身だしなみに気を使わなくなる

陽性症状ほど目立たないですが、日常生活への影響は大きく、「怠けている」と誤解されやすいのが陰性症状の特徴です。

認知機能障害

記憶力・集中力・判断力が低下します。「仕事や学校の課題がこなせなくなった」「物事を順序立てて考えられなくなった」などの変化が出ます。

精神科の現場で感じること

実際に統合失調症の患者さんと関わっていて感じることをお伝えします。

幻聴と戦いながら生活している
幻聴がひどい日は、患者さんが独り言を言いながら歩いていたり、突然怒り出したりすることがあります。声が命令してくることもあるので、患者さん自身がとても苦しそうに見えます。「声がうるさくて眠れなかった」と訴えてくる患者さんも多く、幻聴のしんどさは本当に大きいと感じています。

薬を飲み続けることの難しさ
統合失調症は薬でコントロールできる病気ですが、「薬を飲むと眠くなる」「副作用が辛い」「もう治ったと思った」などの理由で、薬を自己判断でやめてしまうことがあります。薬を中断すると症状が再燃しやすくなるので、服薬の継続がとても大切です。

回復していく姿が嬉しい
入院当初は幻聴や妄想が激しく、コミュニケーションもとれなかった患者さんが、薬が効いてくると少しずつ落ち着いてきます。「最近調子がいいです」「退院したら○○をしたい」と話してくれるようになったとき、看護師として本当に嬉しくなります。

統合失調症は治る病気?

「治る」という言葉の定義によりますが、薬でコントロールしながら社会生活を送れるようになる方はたくさんいます。

早期発見・早期治療が大切で、適切な治療を続けることで症状が安定し、仕事や学校に戻れる方も多くいます。一方で、長期的な服薬と定期的な通院が必要なケースがほとんどです。

「一生入院しなければならない」ということはありません。多くの患者さんが退院して地域で生活しています。

家族にできること

家族の方が統合失調症について知っておくと、患者さんへの関わり方がぐっと楽になります。

症状を「病気のせい」と理解する
幻聴による独り言、妄想からくる訴え、意欲の低下——これらは「性格」や「怠け」ではなく「症状」です。「なぜこんなことをするの?」と責めるよりも、「今はそういう状態なんだな」と受け止める姿勢が大切です。

否定も肯定もしない
妄想の内容を「そんなことあるわけない」と否定すると、患者さんは「わかってもらえない」と傷つきます。かといって「そうだね、監視されてるね」と肯定するのも混乱を招きます。「それは怖かったね」「辛かったんだね」と気持ちに寄り添うのが基本です。

家族自身のケアも大切に
大切な人の病気と向き合うのは、家族にとっても大きな負担です。家族会や相談窓口を活用して、一人で抱え込まないようにしてください。



まとめ

統合失調症についてお伝えしました。

  • 100人に1人がかかる、決して珍しくない病気
  • 脳の神経伝達物質のバランスの乱れが原因
  • 陽性症状(幻聴・妄想)・陰性症状・認知機能障害がある
  • 薬でコントロールしながら社会生活を送れる方も多い
  • 家族は症状を理解し、気持ちに寄り添うことが大切

「怖い病気」「治らない病気」というイメージが少しでも変わってくれたなら嬉しいです。統合失調症について知ることが、当事者・家族・社会全体にとっての第一歩だと思っています。

次の記事では、患者さんから暴言・暴力を受けたときの対処法について書いていこうと思います。お楽しみに!

よくある質問

Q. 統合失調症はどうやって診断されますか?
A. 血液検査や画像検査で診断できるわけではなく、症状の内容・経過・生活への影響などを医師が総合的に判断します。診断には時間がかかることもあります。

Q. 統合失調症の人は危険ですか?
A. 「危険」というイメージがありますが、統合失調症の方が暴力的になるケースは稀です。むしろ病気による苦しさを一人で抱えていることが多く、支援が必要な状態です。

Q. 家族が統合失調症かもしれないと思ったらどうすればいいですか?
A. まずは精神科・心療内科への受診を勧めてみてください。本人が拒否する場合は、かかりつけ医や保健所に相談するのも一つの方法です。一人で抱え込まず、専門家に相談してください。

Q. 統合失調症の治療にはどのくらいかかりますか?
A. 個人差が大きく、数ヶ月で安定する方もいれば、長期的な治療が必要な方もいます。大切なのは焦らず服薬を続けることです。

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