精神科でよくあるトラブルとその対処法|現役看護師が正直に話します

精神科看護師の仕事・現場のリアル

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精神科でよくあるトラブルとその対処法|現役看護師が正直に話します

「精神科ってトラブルが多そう」「実際どんなことが起きるの?」「そういうとき、どう対応すればいいの?」

精神科病棟では、一般病棟では経験しないようなトラブルが起きることがあります。でも「よくあること」を知っておくことで、いざというときに落ち着いて対応できるようになります。この記事では、精神科看護師として長年働いてきた私が、よくあるトラブルとその対処法を正直にお伝えします。

精神科のトラブルは「予測できないこと」が多い

精神科のトラブルの難しいところは、「いつ・何が起きるかわからない」という点です。でも、「よくあるパターン」を知っておくことで、早めに気づいて・早めに対応できることがあります。トラブルを「ゼロにする」のは難しくても、「最小限に抑える」ことはできます。

トラブル① 暴言・暴力への対応

精神科で最もよくあるトラブルのひとつが、患者さんからの暴言・暴力です。症状による言動であることが多いですが、スタッフへの精神的・身体的な影響は大きいです。

対応のポイント

  • 一人で対応しようとせず、すぐに他のスタッフに声をかける
  • 距離を取って、興奮を高めないようにする
  • 穏やかな声・表情で関わる(こちらが興奮すると相手も興奮する)
  • 刺激になるものを取り除く(他の患者さんを遠ざける)
  • 暴力が起きた場合は必ず記録・報告する

暴言・暴力を受けたとき、「病気のせいだから仕方ない」と一人で抱え込まないでください。上司・チームに報告して、一緒に対応を考えることが大切です。

トラブル② 無断離院・離棟

患者さんが許可なく病棟・病院を出てしまうケースです。特に閉鎖病棟では、扉の隙間から出てしまうことがあります。

対応のポイント

  • まず院内を捜索する(トイレ・デイルーム・他の病棟)
  • 院内にいない場合は、すぐに上司・医師に報告する
  • 警察への連絡が必要な場合もある
  • 家族への連絡を行う
  • 戻ってきたときは、責めずに安全を確認する

トラブル③ 自傷・自殺企図——持ち物管理が特に重要

精神科では最も緊張感を要するトラブルのひとつです。特に希死念慮のある患者さんへの持ち物管理は非常に重要です。

預かっておくべき持ち物

  • コード類・充電ケーブル
  • ひも類・ベルト
  • はさみ・爪切りなどの刃物類
  • その他、危険につながる可能性のあるもの

これらはナースステーションで預かり、必要なときにスタッフが管理のもとで使用してもらいます。

外出・外泊後のチェックも必須
外出・外泊から戻ったときは、必ず持ち物チェックとボディチェックを行います。閉鎖病棟では特に徹底して行います。外出中に危険なものを持ち込んでしまうリスクがあるためです。「毎回確認する」という習慣が、事故を防ぐことにつながります。

対応のポイント

  • まず安全を確保する(道具を取り上げる・安全な場所に移動する)
  • 一人で抱え込まず、すぐにチームに報告する
  • 医師への連絡・指示を仰ぐ
  • 傷がある場合は応急処置・医療的対応を行う
  • 本人の気持ちを受け止める(責めない・問い詰めない)

「死にたい」という発言は、冗談であっても必ず記録・報告してください。

トラブル④ 患者さん同士のトラブル

長期入院の患者さんが多い精神科では、患者さん同士のトラブルも起きやすいです。些細なことがきっかけでトラブルに発展することが多いため、「何か変だな」と感じたときは早めに介入することが大切です。

対応のポイント

  • まず当事者を引き離す
  • それぞれの話を別々に聞く
  • どちらかの味方をせず、中立的な立場で関わる
  • 必要に応じて席・部屋の配置を変える
  • チームで情報を共有する

トラブル⑤ 拒薬・拒食

薬や食事を拒否するケースは、精神科では日常的に起きます。

拒薬への対応
なぜ飲みたくないのかを聞く・無理やり飲ませようとしない・医師に報告して指示を仰ぐ・形態を変える(粉薬・液剤など)ことで対応できることがあります。

拒食への対応
食べたくない理由を確認する・食べられるものを探す・水分摂取状況も合わせて確認する・医師に報告して点滴などの対応を検討します。

トラブル⑥ 物の紛失・盗難

認知機能の低下による置き忘れ・他の患者さんが持っていってしまうケースなどがあります。貴重品は入院時に家族に預けてもらい、現金・貴重品の持ち込みは最小限にしてもらうことが予防になります。

「何か変」と感じたときの対応——感覚を大切にする

精神科のトラブルは、数値や明確なサインとして現れる前に、「普段と何か違う」という感覚的な変化として気づけることがあります。

「今日はなんかいつもと違う」「なんとなく落ち着かない雰囲気がある」——こういった感覚は大切にしてください。些細なことからトラブルになることが多いので、何か変だと感じたときは普段より頻回に患者さんの様子を見に行くことが大切です。スタッフ間でその感覚を共有しておくことで、チーム全体で早めに対応できます。

記録の大切さ——自分を守るためにも

どんな小さなトラブル・気になる変化でも、カルテに記録しておくことが大切です。

記録が大切な理由は2つあります。

  • 患者さんのために:後から何かあったときに、経過を追える情報になる
  • 自分(スタッフ)を守るために:「あのとき対応した」「報告した」という記録が、自分の身を守る証拠になる

「記録するほどのことでもないかな」と思っても、気になったことは残しておいてください。後で何かあったときに、その記録が大きな意味を持つことがあります。

トラブルが起きたときの基本的な対応

① 一人で抱え込まない
精神科のトラブルは、一人で解決しようとしないことが大原則です。すぐにチームに声をかけてください。

② まず安全を確保する
患者さんの安全・スタッフの安全を最優先に確保します。

③ 記録・報告を徹底する
どんな小さなトラブルでも、必ず記録・報告してください。自分を守るためにも記録は必要です。

④ 振り返りをする
トラブルが起きた後は、チームで「なぜ起きたのか」「次にどうすれば防げるか」を振り返ることが大切です。

精神科の現場で感じること

長年精神科で働いていて感じるのは、「トラブルへの対応力は経験の積み重ねで育つ」ということです。最初は予測できないことばかりで怖いと感じるかもしれませんが、「よくあるパターン」を知って・チームで対応する経験を積むことで、少しずつ落ち着いて対応できるようになっていきます。

トラブルが起きたとき、一番いけないのは「一人で何とかしようとすること」です。チームで対応する・報告する・振り返る——この繰り返しが、安全な精神科看護を作っていくと感じています。



まとめ

  • 精神科のトラブルは「予測できないこと」が多い——よくあるパターンを知っておく
  • 暴言・暴力は一人で抱え込まず、チームで対応する
  • 希死念慮のある患者さんはコード・ひも・刃物類を預かる
  • 外出・外泊後は持ち物チェック・ボディチェックを徹底する
  • 「何か変」という感覚を大切にして、早めに頻回観察・情報共有する
  • 記録は患者さんのためにも・自分を守るためにも必要
  • トラブル後は必ず記録・報告・振り返りをする

よくある質問

Q. 暴力を受けたとき、どうすればいいですか?
A. まず安全な距離を取り、すぐにチームに声をかけてください。暴力を受けた場合は必ず上司に報告して、記録を残してください。一人で抱え込まないことが大切です。

Q. 「死にたい」と言われたとき、どう対応すればいいですか?
A. 冗談っぽく言われても必ず真剣に受け止めてください。「話してくれてありがとう」と受け止めた上で、すぐに上司・医師に報告してください。持ち物の確認も行ってください。

Q. 外出・外泊後のチェックはどこまでやればいいですか?
A. 持ち物チェックとボディチェックが基本です。特に希死念慮のある患者さん・閉鎖病棟では徹底して行います。病院のルールに従い、チームで統一した対応をしてください。

Q. トラブルが続いて精神的に辛くなっています。
A. 精神科のトラブル対応は、スタッフにとっても大きな精神的負担になります。一人で抱え込まず、上司・同僚に話してください。必要であれば、職場のメンタルヘルスサポートを活用することも大切です。

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