睡眠障害ってどんな病気?精神科看護師がわかりやすく解説
「なかなか眠れない」「夜中に何度も目が覚める」「十分寝たはずなのに昼間眠くてたまらない」
こういった睡眠の悩みを抱えている方はとても多いです。実は日本人の5人に1人が何らかの睡眠の問題を抱えていると言われています。
「眠れないのは気のせい」「我慢すれば治る」と思っている方もいますが、睡眠障害は放置すると心身にさまざまな影響を与えます。この記事では、精神科看護師として睡眠に悩む患者さんと長年関わってきた私が、睡眠障害についてわかりやすくお伝えします。
睡眠障害とはどんな病気?
睡眠障害とは、睡眠に関するさまざまな問題が続き、日常生活・仕事・健康に支障をきたす状態の総称です。「眠れない」だけが睡眠障害ではありません。「眠りすぎる」「眠りが浅い」「睡眠中に異常な行動が出る」なども睡眠障害に含まれます。
睡眠障害の種類
① 不眠症(最も多い)
症状のパターン
- 入眠障害:布団に入ってもなかなか眠れない(30分以上かかる)
- 中途覚醒:夜中に何度も目が覚める
- 早朝覚醒:朝早く目が覚めて、その後眠れない
- 熟眠障害:十分な時間寝ているのに、眠った気がしない
これらが週3日以上・3ヶ月以上続いて、日中の生活に支障をきたす場合を「慢性不眠症」と呼びます。
不眠症になりやすい原因
- ストレス・不安・悩み
- うつ病・パニック障害などの精神疾患
- 生活習慣の乱れ(スマホ・カフェイン・不規則な生活)
- 加齢(年齢とともに眠りが浅くなる)
- 環境の変化(引越し・入院など)
② 過眠症
十分な睡眠をとっているのに、日中に強い眠気が続く状態です。ナルコレプシーは過眠症の代表的な病気で、突然強烈な眠気に襲われて眠ってしまう発作が特徴です。
③ 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠中に呼吸が止まることを繰り返す状態です。大きないびき・朝の頭痛・日中の強い眠気が特徴です。放置すると高血圧・心臓病・脳卒中のリスクが上がるため、早めの治療が大切です。
④ 概日リズム睡眠障害
体内時計のズレによって、眠る時間帯がずれてしまう状態です。夜勤など不規則な勤務による「交代勤務睡眠障害」は、看護師・介護士など夜勤のある職種の方に多い睡眠障害です。
⑤ レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)
夜寝ようとすると足がむずむず・ぞわぞわして、じっとしていられなくなる状態です。不眠の原因になることがあります。
精神科の現場で感じること
精神科に入院している患者さんは、睡眠の問題を抱えている方がとても多いです。眠剤を常に服用している方が大半で、入院してまだ病状が不安定な時期は特に、夜中に何度も「眠れない」と訴えてくることがあります。
横になるように促したり、追加の眠剤で対応したりしますが、それでも眠れず部屋の電気をつけたり、時には眠れない患者さん同士がホールに集まって話していたりすることもあります。夜勤中のそういった場面は、精神科ならではの光景かもしれません。
眠れないまま朝方になってやっと眠たくなり、昼夜逆転してしまうケースも多いです。薬の調整が必要なこともあるので、医師と相談しながら現状に合った薬を服用することがとても大切です。
「眠れない→不安になる→さらに眠れない」という悪循環に陥ることも多く、そんなとき私が大切にしているのは、まず「眠れなくて辛かったですね」と気持ちを受け止めることです。「眠たくなくてもとりあえず横になってみましょう」と伝えることで、少し気持ちが楽になる患者さんも多いです。横になっているだけでも体は休まります。
また、夜勤の看護師自身も睡眠の乱れと戦っています。3交代で働いていると自律神経も乱れがちで、熟睡感がなかったりするのは日常です。不規則な勤務をしているからこそ、睡眠の大切さを身をもって実感しています。
睡眠障害への対処法
生活習慣の改善(まずここから)
朝起きたらまず朝日を浴びる
朝日を浴びることでセロトニンというホルモンが分泌されます。セロトニンは夜になると睡眠ホルモン(メラトニン)に変わり、自然な眠気につながります。「とにかく夜に寝て、朝起きたら朝日を浴びる」——これが体内時計を整える一番シンプルな方法です。
規則正しい睡眠リズムを作る
毎日同じ時間に起きることが、体内時計を整える基本です。眠れなくても、起きる時間は一定に保ちましょう。
寝る前のスマホ・PCを控える
ブルーライトが睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌を妨げます。寝る1時間前からスマホを見ないようにするだけで、寝付きが改善することがあります。
カフェインは午後から控える
コーヒー・緑茶・エナジードリンクなどのカフェインは、摂取後6〜8時間効果が続きます。夕方以降はカフェインを控えることをおすすめします。
適度な運動をする
日中に体を動かすことで、夜の睡眠の質が上がります。ただし寝る直前の激しい運動は逆効果です。
受診の目安
- 眠れない日が週3日以上・1ヶ月以上続いている
- 日中の眠気・集中力の低下が仕事・生活に影響している
- 睡眠薬を自己判断で使っている
- 大きないびき・呼吸が止まると家族に言われた
- 足がむずむずして眠れない
家族へのお願い
「気のせい」と言わない
「眠れないくらいで大げさ」という言葉は禁物です。睡眠障害は本人がとても辛い状態です。
早めに受診を勧める
睡眠障害は放置すると心身への影響が大きくなります。「最近眠れていなさそう」と感じたら、早めに受診を勧めてください。
夜中に何度も起きていても責めない
「また起きてるの?」と責めると、さらに不安が強まります。「眠れなくて辛いね」と寄り添う姿勢が大切です。
まとめ
睡眠障害についてお伝えしました。
- 睡眠障害は「眠れない」だけでなくさまざまな種類がある
- 精神科の患者さんは睡眠の問題を抱えている方が多い
- 眠れなくてもとりあえず横になることが大切
- 薬の調整は医師と相談しながら進める
- 朝起きたら朝日を浴びてセロトニンを分泌させる
- 1ヶ月以上続く・生活に支障が出ている場合は受診を
「眠れない」という辛さは、経験した人にしかわからないものです。一人で抱え込まず、早めに専門家に相談してください。
次の記事では、強迫性障害についてわかりやすく解説していこうと思います。お楽しみに!
よくある質問
Q. 不眠症と「眠れない夜」の違いは何ですか?
A. 一時的な眠れない夜は誰にでもありますが、週3日以上・3ヶ月以上続いて日常生活に支障が出ている場合を不眠症と言います。
Q. 睡眠薬は飲み続けると依存しますか?
A. 睡眠薬の種類によって異なります。自己判断でやめずに、必ず医師に相談してください。最近は依存性の低い睡眠薬も増えています。
Q. 夜勤で体内時計が乱れています。どうすればいいですか?
A. 「できるだけ夜に寝る」「起きる時間を一定にする」「朝の光を浴びる」を意識することで少しずつ整えられます。朝日を浴びることでセロトニンが分泌され、夜の睡眠につながります。
Q. 子どもが眠れないと言っています。受診した方がいいですか?
A. 2週間以上続く・学校生活に影響が出ている場合は小児科・児童精神科に相談してみてください。

