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任意入院・医療保護入院・措置入院の違いとは|精神科看護師がわかりやすく解説
「精神科に入院するって、どうやって決まるの?」「本人が嫌だと言っても入院させられるの?」「措置入院って何?」
精神科の入院形態は、一般病棟とは全く違う仕組みがあります。精神保健福祉法という法律に基づいて、いくつかの入院形態が定められています。この記事では、精神科看護師として長年働いてきた私が、3つの主な入院形態をわかりやすく解説します。
精神科の入院形態はなぜ複雑なのか
一般病棟では、患者さんが「入院します」と同意すれば入院できます。でも精神科では、症状によって判断能力が低下していたり・自分や他者を傷つけるリスクがあったりする場合、本人の同意がなくても入院が必要になることがあります。そのため、精神科には精神保健福祉法に基づいた複数の入院形態があります。
任意入院とは
任意入院とは、患者さん本人が「入院したい」と同意して行う入院です。精神科の入院形態の中で、最も患者さんの意思が尊重された形態です。本人の意思で入院するため、原則として退院を希望すれば退院できます。ただし医師が必要と判断した場合、72時間(3日間)に限り退院を制限できます。開放処遇(自由に外出・外泊できる)が原則です。
医療保護入院とは
医療保護入院とは、患者さん本人の同意がなくても、家族等の同意と精神保健指定医の診察によって入院させることができる形態です。重症の精神症状がある方に適用されることが多く、閉鎖処遇になることが多いです。患者さんには退院請求・処遇改善請求の権利があります。家族等がいない場合は、市区町村長の同意によって入院できます。
措置入院とは
措置入院とは、自傷・他害のおそれがある場合に、都道府県知事・政令指定都市市長の命令によって強制的に入院させる形態です。2名以上の精神保健指定医が診察して、両者ともに「措置入院が必要」と判断することが必要です。費用は公費負担になります。症状が改善して自傷・他害のおそれがなくなれば措置解除となり、任意入院・医療保護入院に切り替わることが多いです。
3つの入院形態の違いを比較
| 入院形態 | 本人の同意 | 必要な手続き | 費用負担 |
|---|---|---|---|
| 任意入院 | 必要 | 医師の判断 | 患者負担(保険適用) |
| 医療保護入院 | 不要 | 精神保健指定医+家族等の同意 | 患者負担(保険適用) |
| 措置入院 | 不要 | 精神保健指定医2名+知事命令 | 公費負担 |
急性期病棟での入院形態の変化——現場のリアル
精神科の現場では、病状によって入院形態が変わっていくことがよくあります。特に急性期病棟では、入院から退院までの流れがあります。
入院時は病状が悪く、隔離室での対応が必要なことがあります。徐々に落ち着いてくると隔離から閉鎖病棟に出て、さらに落ち着くと開放病棟へ。そして退院という流れが多いです。入院形態も変化に合わせて変わっていきます。それに伴って書類もいろいろあるので、ちょっと大変なのが正直なところです。
急性期病棟での一般的な流れ
- 入院時(病状が重い)→ 隔離室・措置入院・医療保護入院
- 症状が落ち着いてくる → 閉鎖病棟へ移動・入院形態の変更
- さらに改善 → 開放病棟へ移動・任意入院への切り替え
- 退院に向けた準備 → 退院支援・地域のサービスにつなぐ
患者さんの権利——退院請求・処遇改善請求
精神科に入院している患者さんには、大切な権利があります。
退院請求
患者さん本人・家族等は、都道府県に対して退院を請求することができます。
処遇改善請求
入院中の処遇(生活環境・治療内容など)に不満がある場合、都道府県に改善を請求することができます。
患者さんには権利があるので、入院に不満があると中には電話をする人もいます。でも大抵は病状が悪い時期なので、思い通りにならなかったりします。患者さんの権利をきちんと伝えながらも、「今は治療が必要な状態だから入院しているんですよ」と丁寧に説明することが看護師の大切な役割だと感じています。
精神医療審査会
入院の必要性・処遇の適切さを審査する機関です。退院請求・処遇改善請求はここで審査されます。
入院に関わる書類について
精神科の入院形態には、それぞれ必要な書類があります。医療保護入院の同意書・措置入院の診察書・定期病状報告書など、入院形態が変わるたびに書類の手続きが必要になります。看護師も書類の確認・記録に関わることが多く、正確な対応が求められます。
精神科の現場で感じること
精神科で長く働いていると、さまざまな入院形態の患者さんと関わってきました。医療保護入院・措置入院で入院してきた患者さんは、最初は「なぜ入院しているのかわからない」「早く出たい」という気持ちが強いことが多いです。でも治療が進んで症状が落ち着いてくると、「入院して良かった」と言ってくれる方もいます。
入院形態に関わらず、患者さんの権利を守りながら・丁寧に関わることが、精神科看護師として大切にしていることです。
まとめ
- 精神科の入院形態は精神保健福祉法に基づいて定められている
- 任意入院:本人の同意あり・最も意思が尊重された形態
- 医療保護入院:本人の同意なし・家族等の同意と精神保健指定医の診察が必要
- 措置入院:自傷・他害のおそれがある場合・公費負担
- 急性期では隔離→閉鎖→開放→退院という流れが多い
- 入院形態が変わるたびに書類の手続きが必要になる
- 入院中も退院請求・処遇改善請求の権利がある
よくある質問
Q. 本人が嫌だと言っても入院させられるのですか?
A. 医療保護入院・措置入院では、本人の同意がなくても入院させることができます。ただしそれぞれ要件が定められており、必要な手続きが必要です。
Q. 医療保護入院の費用はどうなりますか?
A. 通常の保険診療と同じ扱いになります。自立支援医療(精神通院医療)を申請することで、自己負担を1割に軽減できる場合があります。
Q. 家族が措置入院になりました。面会はできますか?
A. 措置入院中でも、原則として面会は可能です。ただし状態によって制限されることがあります。担当スタッフに確認してください。
Q. 任意入院なのに退院できないのはなぜですか?
A. 任意入院でも、医師が必要と判断した場合、72時間(3日間)に限り退院を制限できます。それ以上の制限が必要な場合は、医療保護入院への切り替えが検討されることがあります。
