双極性障害ってどんな病気?精神科看護師がわかりやすく解説

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双極性障害ってどんな病気?精神科看護師がわかりやすく解説

「双極性障害」という言葉を聞いたことはありますか?

以前は「躁うつ病」と呼ばれていた病気で、気分が大きく波打つのが特徴です。「うつ病と何が違うの?」「躁状態ってどんな状態?」——そんな疑問を持っている方も多いと思います。

この記事では、精神科看護師として日々患者さんと関わっている私が、双極性障害についてわかりやすくお伝えします。当事者の方・家族の方・精神科に興味がある方、ぜひ読んでみてください。

双極性障害とはどんな病気?

双極性障害は、気分が「躁状態(ハイな状態)」と「うつ状態(落ち込んだ状態)」の間を繰り返す病気です。

100人に約1〜2人がかかると言われていて、決して珍しい病気ではありません。男女差はほとんどなく、10代後半〜30代に発症することが多いです。

「気分の波は誰にでもあるんじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。でも双極性障害の気分の波は、日常生活・仕事・人間関係に大きな支障をきたすほど激しいものです。「普通の気分の波」とは全然違います。

双極性障害の2つのタイプ

双極性障害には大きく2つのタイプがあります。

双極I型障害
激しい躁状態(入院が必要なほど)とうつ状態を繰り返します。躁状態のときに問題行動(多額の借金・無謀な行動など)を起こしてしまうことも多く、本人・家族への影響が大きいタイプです。

双極II型障害
I型ほど激しくはない「軽躁状態」とうつ状態を繰り返します。軽躁状態のときは「調子がいい」と感じることが多く、病気と気づきにくいのが特徴です。うつ状態が長く続くことが多く、うつ病と間違われやすいタイプです。

躁状態ってどんな状態?

双極性障害の特徴的な症状が「躁状態」です。うつ病にはない症状なので、詳しく説明します。

気分が高揚する
「何でもできる!」「自分は特別な存在だ!」という万能感・誇大感が出てきます。自信に満ちあふれ、とてもエネルギッシュに見えます。

眠らなくても平気
睡眠が3〜4時間でも「全然眠くない、もっと動ける!」という状態になります。でも実際には体は疲れているので、心身への負担は大きいです。

お金を使いすぎる
「このビジネスは絶対うまくいく!」と多額の投資をしたり、次々と高価なものを買ったりします。躁状態が終わったあとに多額の借金が残っていた、というケースは珍しくありません。

口数が増える・話が止まらない
アイデアが次々と湧いてきて、話が止まらなくなります。思考のスピードが上がり、一つのことから別のことへと話が飛びやすくなります。

イライラ・攻撃的になることも
高揚感だけでなく、些細なことでイライラしたり、攻撃的になったりすることもあります。「自分は正しい、周りが間違っている」という感覚が強くなることがあります。

うつ状態ってどんな状態?

躁状態の反動のように、うつ状態がやってきます。

  • 気分が落ち込み、何もやる気が起きない
  • 食欲がなくなる・眠れない(または眠りすぎる)
  • 集中力・判断力が低下する
  • 「死にたい」「消えてしまいたい」という気持ちが出ることも

双極性障害のうつ状態は、うつ病のうつ状態ととてもよく似ています。そのためうつ病と診断されてしまい、適切な治療が受けられないケースもあります。

うつ病との違いは?

「うつ病と双極性障害、何が違うの?」という質問はよく聞きます。

一番の違いは躁状態・軽躁状態があるかどうかです。

うつ病は「うつ状態だけ」が続きます。双極性障害は「うつ状態」と「躁状態(または軽躁状態)」を繰り返します。

治療方法も違います。うつ病には抗うつ薬が使われることが多いですが、双極性障害に抗うつ薬だけを使うと躁転(躁状態に切り替わること)するリスクがあります。双極性障害には気分安定薬・非定型抗精神病薬が中心に使われます。だからこそ、正確な診断がとても大切なんです。

精神科の現場で感じること

躁状態のときは別人のよう
穏やかだった患者さんが躁状態になると、まるで別人のように変わることがあります。大声で話し続ける、他の患者さんに話しかけ続ける、夜中も動き回るなど、病棟全体に影響が出ることもあります。

本人は病気と気づいていないことが多い
躁状態のときは「自分は絶好調だ」と感じているので、「病気です」と言っても受け入れてもらえないことがほとんどです。「なぜ入院させられたのか」と怒る患者さんも多いです。

うつ状態のときのフォローが大切
躁状態が落ち着いてうつ状態になったとき、患者さんは「躁状態のときにやってしまったこと」を振り返って深く後悔します。「なんであんなことをしてしまったんだろう」という自責の念が強くなりやすいので、この時期の精神的なサポートがとても大切です。

家族にできること

躁状態のときの関わり方
興奮している本人を正面から否定すると、トラブルになりやすいです。「そうなんですね」と受け流しながら、危険な行動(多額のお金の使いすぎ・無謀な行動)を止めるサポートをしてください。一人で抱え込まず、早めに医療機関に相談することが大切です。

うつ状態のときの関わり方
「頑張れ」という言葉はプレッシャーになります。「ゆっくりしていいよ」「ここにいるよ」という寄り添う姿勢が大切です。自責の念が強くなりやすい時期なので、責めずに見守ってください。

波が来る前のサインを知っておく
患者さんごとに「躁状態になる前のサイン」があります。「急に眠らなくなった」「急に饒舌になった」など、いつもと違う変化に気づいたら早めに医療機関に連絡してください。

家族自身のケアも忘れずに
双極性障害の家族を支えることは、心身ともに大きな負担になります。家族会や相談窓口を活用して、一人で抱え込まないようにしてください。



まとめ

双極性障害についてお伝えしました。

  • 気分が「躁状態」と「うつ状態」を繰り返す病気
  • I型(激しい躁)とII型(軽躁)の2タイプがある
  • 躁状態のときは「絶好調」と感じるので病気と気づきにくい
  • うつ病と間違われやすいが治療法が違うので正確な診断が大切
  • 家族は躁状態・うつ状態それぞれの関わり方を知っておくことが大切

「気分の波が激しい」「うつ病の薬が効かない」と感じている方は、一度精神科・心療内科に相談してみてください。正しい診断と治療で、安定した生活を送れるようになる方はたくさんいます。

次の記事では、統合失調症の家族と上手に関わるコツについて書いていこうと思います。お楽しみに!

よくある質問

Q. 双極性障害は完治しますか?
A. 完全に「治る」というよりも、薬と生活管理で症状をコントロールしながら安定した生活を送れるようになることが治療の目標です。適切な治療を続けることで、波が小さくなり日常生活を送れるようになる方は多くいます。

Q. 双極性障害の人が躁状態のとき、どう対応すればいいですか?
A. 正面から否定・制止すると興奮が高まりやすいです。危険な行動を止めながらも、感情的にならず落ち着いて関わることが大切です。一人で対応が難しい場合は早めに医療機関に相談してください。

Q. 双極性障害とうつ病は薬が違うのですか?
A. 違います。うつ病には抗うつ薬が使われることが多いですが、双極性障害には気分安定薬や非定型抗精神病薬が中心に使われます。双極性障害に抗うつ薬だけを使うと躁転するリスクがあるため、正確な診断がとても重要です。

Q. 双極性障害は遺伝しますか?
A. 遺伝的な要因が関係していると言われていますが、必ず遺伝するわけではありません。環境・ストレスなど複数の要因が重なって発症すると考えられています。

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